Archive for 12月 2013

森田研究室から巣立っていった指導生たちの博論・修論のタイトルを紹介します。

博士論文 ――

双極Ⅱ型障害の臨床心理学的アセスメント-ロールシャッハ法とTATのテスト・バッテリーの有効性-

青年期の進路選択に関する親のサポートの研究

バウムテストの「ゆらぎ」の構造

学生相談における連携・協働の実践的統合モデル-個別カウンセリングとコミュニティ支援を結ぶ「連働」-

S-HTPにおける現代青年の描画特徴の研究-新たな描画指標の構築に向けて-

高校相談活動におけるコーディネーターに関する研究

感情特性の形成における親の役割:デュアルプロセス理論の枠組みから

発達障害のある同胞をもつきょうだいの心理とその支援に関する研究

芸術療法における体験過程および表現特徴に関する基礎的研究-コラージュ技法・ブロック技法を中心とした検討-

学校教師の共感性に関する研究

統合失調症者のコラージュ表現に関する研究

 

修士論文 ――

大学生が相談を抑制する要因の検討-相談したくてもしない場合に着目して-

メンタルヘルス領域に対するイメージ形成の要因と自己開示性への影響

TAT物語に投影される時間的展望に関する研究-量的・質的分析から-

コラージュ制作の体験過程に関する研究-言語化された自己への気づきに焦点をあてて-

カウンセラーに対する印象形成に影響を与える要因の検討-カウンセラーの化粧に着目して-

医療場面における専門家の言葉の影響-不調をストレスに原因帰属される場面に着目して-

心理専門機関の利用を勧める意識に関連する要因の探索的検討

青年期の家族イメージと家族機能-動的家族画(KFD)を用いて-

母親を亡くした子どもが辿る喪失体験過程の質的検討-青年の懐古的な語りから-

認知症高齢者における「ケア」の意味に関する研究-インタビュー調査を通して-

大学生の居場所感に関する研究-自己の捉え方の違いに着目して-

精神科看護師のレジリエンスに関する研究-面接調査を通して-

現代青年の病理としての摂食障害傾向-自己イメージとの関連からの検討-

青年期の母子関係と自尊感情-母親認知・養育態度を指標として-

思春期・青年期における悩みの相談の発達的変化に関する研究

軽度発達障害児を持つ母親への就学前支援-就学への母親の不安と子どもの特徴理解に着目したグループ実践

伴侶動物が人の家族機能と主観的幸福感に与える影響

母親にとっての子どもの巣立ちと家族イメージの研究-動的家族描画法(K-F-D)を用いた検討-

特別支援教育における教師と保護者の協働に関する研究-教師の協働に対する態度と自己効力感-

母親の公的サービスへの子育て支援ニーズに関する研究-支援ニーズと育児ストレス・評価懸念との関連-

性犯罪被害者に関する認識と態度の調査研究-大学生を対象にして-

青年の自己愛傾向による対処方略および防衛の違いに関する研究-ロールシャッハ・テストを用いた防衛の検討-

感情喚起の個人差形成に関する研究-養育者の認知的評価スタイルの内在化に着目して-

思春期における自己の感情への気づきに関する研究-精神的健康との関連-

犯罪被害者直接支援員の感情体験に関する質的研究-被害者および事件内容へのかかわりに焦点を当てて-

死別体験がもたらす人間的成長-半構造化面接法における「語り」の分析-

風景構成法の描画プロセス-描き手の主観的体験を中心とした検討-

心理臨床家にとってのイニシャル・ケースの経験とその影響について

自己受容とアサーションの関連について-情動喚起の要因に注目して-

大学生のメールカウンセリング利用に対する意識に関する研究

女子中学生の同性友人グループに関する研究-グループにおけるつきあい方と孤独感に注目して-

間接的な要求表現の理解に影響する聞き手側の個人特性の検討-多次元共感性と対人恐怖心性に注目して-

帰国生に対するステレオタイプが受け入れ側の生徒の態度に及ぼす影響

終末期医療に携わる看護師の看取りからの学び-ストレス関連成長と死生観の視点から-

青年期における非主張的タイプの特性について-怒りの捉え方の観点から-

ブロックを用いた心理療法のための基礎的研究-POMSによる気分変容の検討-

中学校の相談室における援助活動-生徒のスクールモラールと自由来室活動からの検討-

ユーモアを感知することがメンタルヘルスに及ぼす影響-ユーモアの質的側面からの検討-

就職活動の心理学的意義に関する研究-職業不決断が及ぼす影響の観点から-

スクールカウンセラーと教師の連携に関する研究-コーディネーションの阻害・促進という観点から-

中学生の友人に対するアサーション行動-行動後の気持ちとアサーション意識に着目して-

大学教員の職場ストレスの解析と精神的健康への影響-大学固有の職場環境・対人関係の視点から-

大学生における精神的自立に関する研究-他者に対する必要性・期待・満足度との関連から-

学校相談活動におけるバウムテストの活用についての一考察

大学生における対人的傷つきやすさに関する研究-対人的成功・失敗場面での原因帰属との関連から-

学年差から見た大学生のストレスにおける認知的評価と対処-発達課題としてのストレス-

母親の育児不安・養育態度と夫からのサポート-夫婦間や必要度との不一致の視点から-

研究紹介です。

最近の関心テーマ ――

①ロールシャッハ法(名大式技法)をめぐって

同じものを見ても違うものを思い浮かべるのはどうしてだろう?そして、同じものを思い浮かべていても異なった表現や伝え方をするのはどうしてだろう?名大法がもつ「感情カテゴリー」や「思考・言語カテゴリー」というユニークな分析の枠組み、それらを用いて心の中で起きていることにアプローチしようとしています。

②来談行動・来談動機をめぐって

人は何故どのように心の相談に訪れるのだろう?一目散に飛び込んでくるのは何故だろう?逡巡してなかなか近づけないのは何故だろう?そこには、自分についての問題意識や他者への思い・関係の持ち方が反映されるのではないかと考えています。

③心理臨床家の養成教育をめぐって

心の臨床とはなんだろう?心の臨床家を目指す人は何をどう学んでいるのだろう?また、何が求められているのだろう?現状の把握をしつつ、養成教育のあり方について検討しています。

 

現在進行中の研究 ――

臨床心理アセスメント・プロセスの検討-養成教育の視点から(平成24年度科学研究費基盤C)

「心の専門家」養成教育における教材作成(平成25年度総長裁量経費教育奨励費)

 

主な著書・論文 ――

森田美弥子・金子一史(編著)2014「心の専門家養成講座① 臨床心理学実践の基礎 その1(基本的姿勢からインテーク面接まで)」ナカニシヤ出版

松本真理子・森田美弥子・小川俊樹(編著)2013「児童・青年期臨床に活きるロールシャッハ法」金子書房

森田美弥子・髙橋靖恵・髙橋昇・杉村和美・中原睦美 2010「実践ロールシャッハ法-思考・言語カテゴリーの臨床的適用-」ナカニシヤ出版

松本真理子・森田美弥子 2009「子どものロールシャッハ反応-形態水準と反応内容-」金剛出版

森田美弥子(編著)2007「臨床心理査定研究セミナー」至文堂

岡堂哲雄(監修)・大熊保彦・土沼雅子・橋本泰子・長谷川啓三・森田美弥子(編)2005「臨床心理学入門事典」至文堂

田畑治・森田美弥子・金井篤子(編著)2003「臨床実践の知」ナカニシヤ出版

蔭山英順(監修)・森田美弥子・金井篤子・川瀬正裕(編著)2003「21世紀の心理臨床」ナカニシヤ出版

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Ina Moe・Miyako Morita  2015  Japanese university students’ stigma and attitudes toward seeking professional psychological help.  Online Journal of Japanese Clinical Psychology 2, 10-18

成田絵吏・森田美弥子  2015  高校生の進路選択における親のサポートについて-進路選択に関する自己効力と行動との関連から-  キャリア教育研究33.47-54

野田・堀・丸山・森田  2015  異なる領域、世代から見た心理臨床-相談室紀要を振り返りながら  名古屋大学心理発達相談室紀要30.5-14

石川・丸山・山下・垣内・小林・永田・松本・森田  2015  大学附属心理相談室プレイルームの物理的環境に関する研究-空間と構成要素がもつ機能-  名古屋大学心理発達相談室紀要30.35-46

土屋マチ・森田美弥子   2012  投映法と水準仮説に関する文献展望-有効なテスト・バッテリー構築のために-  名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)60.  111-119

小林・福元・松井・岩井・菅野・小牧・淺井・松本・森田 2013 臨床心理士養成大学院附属心理相談室における養成教育の現状と課題 心理臨床学研究31.152-157

成田絵吏・森田美弥子 2012 大学生における職業の選択に関する被援助志向性の研究 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)59.91-100

Daiki Kato・Kyoko Hattori・Shiho Iwai・Miyako Morita 2012 Effects of collaborative expression using LEGO blocks on social skills and trust. Social Behavior and Personality 40. 1195-1200

森田美弥子 2012 臨床心理アセスメントにおけるフィードバックをめぐって 名古屋大学心理発達相談室紀要27.27-30

纐纈千晶・森田美弥子 2011 現代青年の友人への交流態度からみたS-HTPの描画特徴 心理臨床学研究29.634-639

森田美弥子 2010 ロールシャッハ・カード特性と継列分析 名古屋大学心理発達相談室紀要26.13-17

纐纈千晶・森田美弥子 2010 大学生における両親の養育態度とS-HTPの描画特徴の関連-精神的成熟度からの検討- 臨床描画研究25.128-145

岩井志保・森田美弥子 2010 心理臨床家のイニシャル・ケース経験について-イニシャル・ケースに関する実態調査およびその後の心理臨床活動へのイニシャル・ケース経験の影響の検討- 名古屋大学心理発達相談室紀要25.21-30

加藤大樹・原口友和・森田美弥子 2009 芸術療法の諸技法における体験過程に関する研究-コラージュ技法・風景構成法・ブロック技法の比較- 日本芸術療法学会誌39.51-59

森田美弥子・岩井志保・松井宏樹・直井知恵 2009 心理臨床家のアイデンティティと養成教育 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)55.167-178

John Gathright・Yozo Yamada・Rie Tanaka・Miyako Morita 2007 Recreational Tree-Climbing Programs in a Rural Japanese Community Forest: Social Impact and “Fun Factors”. Urban Forestry and Urban Greening 6. 169-179

加藤大樹・服部香子・伊藤里実・森田美弥子 2007 高校生を対象とした協同ブロック制作の試み-個別描画場面との比較を通した制作体験の検討- 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)54.111-117

鈴木郁子・杉山郁子・桐林真紀・森田美弥子 2007 学校教師の共感性を向上させる研修-「ラボラトリー方式の体験学習」におけるシェアリングの効果の検討- 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)54

坪井裕子・森田美弥子・松本真理子 2007 被虐待体験をもつ小学生のロールシャッハ反応 心理臨床学研究25.13-24

森田美弥子・加藤大樹・伊藤里実・服部香子 2007 高校生を対象とした臨床心理学の授業-「関係」を通しての体験学習の試み- 名古屋大学中等教育センター紀要7.1-11

森田美弥子・鈴木真之・久利恭士・上杉春香 2007 高校教師から見た生徒や保護者とのコミュニケーションの問題-学校場面に関する調査から- 名古屋大学心理発達相談室紀要23.3-7

森田美弥子・三後美樹・上杉春香・大林加奈・川口さよ・永井小百合・服部香子 2006 親面接で生じやすい問題と留意点-心理臨床を学ぶ大学院生の視点から- 名古屋大学心理発達相談室紀要21.1-10

森田美弥子・大西呂尚 2005 看護学生の「人生のイメージ画」-死生観を探る媒介として- 名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要(心理発達科学)52.153-163

森田美弥子・中田薫 2005 ロールシャッハ法「テスト教示」(Test instruction)についての一考察 名古屋大学心理発達相談室紀要20.13-17

森田 美弥子(もりた みやこ)

名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授

「こころ」は、とらえどころのない不思議なものですが、「心が弾む」「心が痛む」「心細い」「心掛ける」等々の言葉があるように、私たちの状態や面持ちをあらわしています。その人の行動や生き方を通して「こころ」の動きや特徴をとらえることができます。

私は臨床心理学の実践や研究の中で多くの人の「こころ」と出会う仕事をしています。これまで、単科の精神科病院、大学や専門学校の学生相談室、臨床心理士養成大学院附属の心理相談室などで、心理臨床実践をしてきました。専門は臨床心理査定学です。「臨床心理査定(アセスメント)」とは、「臨床心理学的援助実践のなかで、個人や集団を理解するために、面接・検査・観察といった方法を用いて行う関わり」のことです。人が人を100%知り尽くすことは不可能ですが、理解しようと努力することで近づくことができます。理解したことをフィードバックして共有することも重要です。だからアセスメントは「関わり」だと考えています。

「こころ」に接近するためのアセスメントのあり方について様々な側面から検討し、それを大学院生や若い心理臨床家たちに伝えることも最近は重要な仕事となってきました。もちろん、私自身も一生学び続けていけたらと思っています。